2024年9月16日月曜日

交配(2024年09月14~16日)

13日(金)夜

閉店後、コンビニで無糖のカフェオレを買う。最近どうも夜眠くていけない。絵の続き。進めていたキャンバスをとりあえず止めて、板パネルを下塗り。帰宅。風呂に入って寝る。

いろんなものをディスプレイして遊ぶための白い壁の部屋がほしい。あわよくばそこで何かを売りたい。


14日(土)

朝6時半に起きる。朝ごはん食べながら五所平之助『煙突の見える場所』見る。音や影、鏡を使ったきめ細かい演出。内容は重いけれど、隣人たちの温かい人柄や人間くさい仕草が軽さを持たせていて染みる。戦後すぐはこういうトラブルが多かったのだろうかと思うと辛いな。工藤冬里さんの器でコーヒーを飲みながら、オオヤミノル『喫茶店のディスクール』続き読む。

「もらったら返すんだけど違う人に返す。もらった分より少なく返すんだけど、揉め事を避け、権力の逆転表現としてへりくだってもらうのではなくって、誰に返すのかとか、どういうパターンで返すかっていうので、協調性みたいなものが表現されるという。」(p98)

「作品がどのように美しいのかとか、自分にとってなぜいいのかをコミュニケーションする場が、喫茶店であり本屋であり、嗜好品を扱う店だよね。それを求めた結果が、消費だけでなく、美意識の交換や、コミュニティ形成ができる、本屋や喫茶店のような共有財産への渇望だったはず。」(p110)

洗濯とお弁当の用意をして外出、店へ。均一棚用の本を見繕う。

開店。均一本の補充、品出しなど進める。DJの生物さんが来てくれて、いろいろ話す。生物さんリリース予定があるとのこと。楽しみだ。

しわしわから届いていた合同誌『ちゃくりんぐ しっぽ』とラップユニット『消極的レジャー』の1st CDR”GIGANT WATER"を出す。前者はしわしわの他に、yomsでも以前から冊子を扱っている蚊にちゃん、藤想さん、まどさん(音楽ユニット『E.S.V.』『ジョンのサン』などでも活動されている方で、サイトウマドとは別人)、おなしさんの5名によるマンガやイラストが掲載されている。『消極的レジャー』はしわしわとおなしさんの2人によるユニット。もんやりした音像の、曇りの日をあえて慈しむような雰囲気が良い感じ。こちらのCDRにも冊子が付いている。

今日記を書いていて、自分の知り合いは変わった名前の人ばかりだなと改めて思った。閉店間際にヒウラ君やヤマハラさんが来てくれて、楽しそうに本を買ってくれた。

閉店後、ルクスへHAPPFATさんのDJするイベントに行く。ブラジルものからヒップホップ、日本の歌謡曲までめまぐるしく変化するプレイ。かっこよかった。

睡魔に襲われ、ふらふらと歩いて帰る。


15日(日)

朝7時半に起きる。シャワーを浴びて朝ごはん。『喫茶店のディスクール』読み終える。咀嚼にはまだ時間がかかりそうだけど、読めて良かった。

こないだ平安蚤の市に行って、500円くらいかな?と思った小さな玉が聞いてみると2000円だったりした後に、OASIS2で店主の方と古本と古着と古物についていろいろ話したのがとても良かった。モノ、相場、価格、演出などについて考えた。『喫茶店のディスクール』は終盤アート作品とそこに発生するお金の流れにも言及している。自分は相場のはっきりした古本を売りつつ、モヤモヤした相場の上で流通させることになる絵を描いていて、今はそれらの売り方、見せ方(と、そこから派生する出来事←本当はここが一番重要)を交配する手段はないかと考えている。

「作品がどのように美しいのかとか、自分にとってなぜいいのかをコミュニケーションする場が、喫茶店であり本屋であり、嗜好品を扱う店だよね。
それを求めた結果が、消費だけでなく、美意識の交換や、コミュニティ形成ができる、本屋や喫茶店のような共有財産への渇望だったはず。」(p110)

「買う人は「価値があるから」って言うのね。その場合の「価値」ってなんだろう。アーティストの事情に課金できる社会的理由。そんなもん絵に感動することと何も関係がないよね。」(p131)

お弁当の用意をして、まどと外出。まどはこの日イラストレーターのタケウマさんが主催する野外スケッチ会に参加。自分は店へ行き、絵の続き。板パネルの側面を塗る。ただのベタ塗りでも意外に時間はかかる。

開店。品出し、発送準備を進める。この日もなかなか発送が忙しかった。こずえちゃんが来てくれたり、2日連続でヒウラ君が来てくれたり。観光の方が多い時期は、やはり日が暮れてからのご来店が多くなる。

結局この日は1時間半ほど残業。本の発送をし、スーパーで2個600円の梨を買ってみる。帰宅。まどと梨を食べると、また猛烈な眠気。本を読もうと思っていたけど、仕方なく寝る。


16日(月)

朝6時に起き、シャワーを浴びて、増村保造『動脈列島』見る。よくしゃべる情熱的な梶芽衣子が新鮮。しかしレールにサラダ油を塗るだけで新幹線のブレーキが利かなくなってしまうなんて…おいおい。捜査網の指揮を執る田宮二郎の言うことも論理性に欠け、なんだか全体的にゆるい印象を持ってしまった。ほぼ2時間きっかりある映画全体のちょうど半分まできたタイミングで指名手配捜査の発表になって映画の雰囲気が変わり、残りちょうど30分あたりでクライマックスに突入するのには、背筋が寒くなるような、妙な時間構成へのこだわりを感じた。

朝ごはんを食べ、お弁当を用意してまどと外出。南に入って読書。『22世紀の荒川修作+マドリン・ギンズ』続き読む。荒川の手掛けた住宅の住民による座談会が面白い。現在の住宅建築で自明とされている利便性が、住民の中で既にかき回されていることがよくわかる。川端康成『水晶幻想/禽獣』読み始める。川端の幻想文学系作品は、短い一文だけを取り出してみても切れ味がすごい。

「河波の上の呼声でほうと眠りから覚めると、私の眼に船の帆が白い渡鳥の群のように浮びました。そうです。白帆を見た瞬間の私は、その胸に鳥を飛ばせている時の青空のように無心でした。」(P9、『青い海黒い海』)

まどは図書館へ。郵便局で本を発送し、作業部屋で絵の続きをやる。

開店。3連休最終日。品出しを重点的にやっていく。この日はあまり面倒な梱包はなく、発送準備はそれほど手間がかからなかった。この連休は「香川に住んでいて、前々から来たいと思っていたんですけど今回やっと来れました」という方も多くうれしい。来週も3連休で、さらに来月からは県内外で出店が続く。

明日は定休日。最近滞っていたイラレ作業を進める予定。

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