2023年11月3日金曜日

違う厳しさ(2023年11月02~03日)

01日(水)夜

閉店後、イングマール・ベルイマン「冬の光」見る。その後キャンバスの続き。家に帰ってシャワーを浴び、徳田秋声「黴」(岩波文庫)少し読んで寝る。


02日(木)

朝8時半に起きる。朝ごはんを食べてまどと南珈琲へ。「黴」読み終える。何かのアンケートで古井由吉が講談社文芸文庫の中で好きなのは徳田秋声の「黴|爛」、と答えていた。確かに秋声のひらひらとした描写の美しさは古井由吉作品にも感じる(なんともぼんやりとした感想)。作業部屋でキャンバス進める。最近は抽象的な作風の絵を多く作っているのもあってか、少し手を加えただけでガラッと絵全体のバランスが変わる時があり、面白い。

開店。この日は天気は良かったものの、お客さんは少なかった。アシュリーが来てくれて、何冊か買ってくれた。

閉店後、本を発送。お酒を飲みつつ、藤原辰史「植物考」読み始める。その後、作業部屋でレコード聞きながらキャンバスをやる。ハードオフで300円くらいで買ったレコードが良い内容だとうれしい(大量のかぐや姫や松山千春をかきわけないといけないのは面倒くさい)。

(↓以下はこの日の夜にinstagramへ投稿した文章の一部)

2014年に、東京・阿佐ヶ谷の区民センター的なところで「絵画サークル展」という展覧会をやった。自分の他に6人の架空の人物をでっち上げ、メンバー7人のサークルとして行った個展。
この時は「いわゆるアートの場所と離れたなんでもないところに身を置いてみたい」という気持ちがあった。案の定、「ごめん、全然わかんないわ笑」と言いながら去っていくおばさんなどが来る。会期中はこういう良い緊張感をずっと感じていた。
しかし、会期が終わるとまたいつもの絵描きが身の回りにたくさんいる日常へ戻り、「こんなおばさんがいたんだよね」という「みやげ話」をすることになる。この時点で、最初やりたかったことは変質している。
結局、共通理解の持てるかわからない人たちのもとへ自分の絵を差し出す緊張感を、会期後も持続させることはできなかった。その頃は自分が「画家」でいることしかできなかったから当然だ。

こないだ、近所にある飲食店がこっそり別の場所でいつもと違う感じのメニューと雰囲気で営業するという情報を見て、行ってみた。到着すると、近所のまた別の飲食店の方もいて、みんなで飲みながらわいわい話した。
ふと「飲食や小売をやっている人と話してると、自意識との付き合い方がアーティストよりもよっぽどアーティスティックに感じることが多いな」と思った。
表現を自分の中心に置いている人間が行き交う世界は、自意識を振り回すことや容赦ない批判を交わすことも織り込み済みになっていたりするけど、そこから出ると「割とおかしなところにいたもんだな…」とも思ったりする。
店がそれを公然とやっていたらすぐにつぶれてしまうので、また違う厳しさがある。できるだけスマートにやらなければいけない。


03日(金・祝)

朝7時半に起きる。朝ごはんを食べてシャワー。コーヒー飲みながら読書、「植物考」読み終える。本棚から次に読む本を選ぶ。この時間がいつも楽しい。洗濯物を畳んでお弁当の用意。

開店。3連休初日ということもあり、県外かららしきお客さんも多い。先日行われた「うだつの上がる古本市」での出店でyomsを知ったというお客さんも来られ、うれしい気持ちになる。この日は久々にアルバイト用の本の準備を進めた。品出しもやる。観光シーズンはさっと見ていくだけとか店の前で記念写真を撮っていくだけの人も増えるが、やはり見るからに「買いに来ました」という雰囲気が出ている人も来るので、最終的な売り上げが良ければまあいいか、という感じ。

これからまどと、栗林駅の近くにある「夜仲そば」に行ってみようと思う。

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