2022年6月6日月曜日

ピアノと残光(2022年06月06日)

05日(日)夜

閉店間際まどと店番を交代。個展の作品リストに追加すべき項目があったので修正しプリント。閉店後、アニエス・ヴァルダのデビュー作「ラ・ポワント・クールト」見る。編集はアラン・レネ。ゆったりとしたテンポで会話を重ねていく夫婦。猫がたくさん出てくる。漁村の貧しい生活の描写にはなんとなくイタリアの映画を思い出した。シャワー浴びて寝る。この日の夜は雨が降って少し寒いくらいだった。


06日(月)

朝8時前に起きる。ストレッチ。春風堂で食パンを買ってきて、トーストを食べる。とても眠い。午前中はうとうとしながらキャンバスを進めつつ読書。黒島伝治「瀬戸内海のスケッチ」読み始める。以前読んだ「橇・豚群」とはかなり違う、穏やかな空気に満ちた文章。キャンバスを描いている時の脳の動きは日常と違う。自分がいきいきしてくるのを感じる(言葉にすると陳腐ですね)。茎に作品リストの修正版を届け、スーパーで梱包用の段ボールをもらう。個展に出した文章の冊子「人生は複数」が早くも売れている模様。増刷すべきか。

開店。天候回復。発送準備など進める。以前出張買取でお世話になったIさんがご来店。Iさんからは本と一緒にキャンバスもいただいて、今回の個展にもその時のキャンバスを使った絵を出している。キャンバスまだあるとのことだったので、またお世話になるかもしれない。お客さんは夕方以降増えた。

夜にさっこが来て、久しぶりに話す。「こんにちはと言うことと履いてる靴を脱いで投げるのがどちらも挨拶になりうる世界を生きるには」というような話をしたので、小島信夫の「残光」を貸した。「残光」は作者が90歳の時に書かれた小説で、助詞は間違っているし、「目が見えない」「書き続けられるかな」とか恐ろしいことが書かれている。読む側は作者の死が近く認知が歪んでいると思わされ、小説を読んでいる気分ではいられなくなる。しかし作者は(ユーモアすら交えて)あくまでそれを小説として突き付けてくる。小島信夫が助詞を取り違えることを自分の話法の一つに取り込んでしまっていることと、さっこがピアノを演奏することと演奏する前に椅子を引くことを同列にとらえている(この場合「演奏として椅子を引く」は違う)ことには通じる部分があるだろう。

今日はもう遅いのでシャワー浴びて寝る。明日は冊子の増刷作業。

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