2025年10月13日月曜日

データ整理、来客(2025年10月09~13日)

08日(水)夜

本を発送して帰宅、シャワー。岸政彦、柴崎友香『大阪』読み終えて寝る。


09日(木)

朝7時半に起きる。朝ごはん、お弁当の用意。早めに家を出て、店に行く。この日はずっとアレのためのデータ整理作業。営業時間中もずっとやっていた。夕方ごろ、Uさんが段ボール4箱、紙袋3つ分の本を持ってきてくれる。中身を見てみると、怪奇幻想系やSF/スチームパンクの画集などが多く、とてもありがたい内容。

閉店後、本を発送して少し休憩。その後もデータ整理。途中トラブルあり焦るが、24時前に完了。


10日(金)

朝7時半に起きる。朝ごはん、お弁当の用意。まどと外出。スーパーでDVD-Rを買って、南に入る。

以前砂古口さんの文章だけ読んで放っていた、『ユリイカ』1993年9月号、宮武外骨特集を改めて読み始める。土取利行が構成を担当したミルフォード・グレイヴスのインタビュー記事があったり、平岡正明が『モンク・ミーツ・コルトレーン』のマスターテープ発見について書いていたりと、音楽関係でも気になる文章が多い。外骨特集、砂古口さんの文章も改めて読み、「外骨という人は本当にどこからかかっていけばいいかわからないくらい、どこからでもかかっていけます」という箇所に共感。無防備に自分の好奇心をむき出しにしている人は好きだな…と思う。

AさんからLINEあり、店に行く。DVD-Rに昨日整理したデータをまとめ、レターパックで発送する。14日に東京へ行った際、打ち合わせできることになった。良いタイミングだ。

開店。品出しをしつつ、昨日Uさんが持ち込んでくれた本の査定を進める。明日から3連休という時にたくさんの入荷、大変助かる。いい本ばかり。

閉店後、早めに帰宅。ビール飲みながらセルジュ・ブールギニョン『シベールの日曜日』見る。美しい演出はたくさんあったけど、ご都合主義なストーリーに乗り切れず。もっと戦争のトラウマを深く描いていれば印象は違ったかもしれない。検索していろんな感想を見てみても、少女に恋をしてしまったことではなく、それを世間から非難されることが悲劇だとしているものが多く、モヤモヤした。


11日(土)

朝8時過ぎに起きる。朝ごはんを食べて、小松菜のおひたしと親子丼を作る。洗濯。外出、酒屋へビールやジンジャーエールの買い出し。今店はほとんど立ち飲みの状態だけど、なんだかんだで飲み物は少しずつ出る。

開店。3連休初日で人出は多い。昨日おとといとあまり品出しができなかったので、この日はがんばった。Uさんに買取のお金を支払い、他もう1件店頭買取。ナナロク社より、再納品のお願いをしていた多賀盛剛『映画と感想』が届く。SNSに再入荷のお知らせをするとけっこう反応がある。めちゃくちゃ面白かったら「めちゃくちゃおもしろかった」と書き、何度も面白いと思ったら何度も「おもしろかった」と書く、通常の批評言語を飛び越えた破格の映画感想集。

閉店後、早めに帰宅。風呂に入り、この日はゆっくりと『ユリイカ』の続きを読んだ。


12日(日)

朝8時に起きて、朝ごはん。お弁当の用意。まどと南に行き、『ユリイカ』読み終える。座談会で赤瀬川原平が「学問の入口っておもしろいんですね。芸術でも入口あたりがおもしろくて。外骨はだいたいがそうでしょう、入口でいろいろやっている。」と言っていて、いいなと思った。外骨の出版物はその時々の自身の興味関心のドキュメントにもなっている。

開店。この日は県外の友人知人の来店が多かった。ジョンのサンやESVのメンバーのマドさんが来てくれる。ご家族のあれこれがあり愛媛に来ていたそう。マドさんはここ2年くらい会う機会が増えているけど、ゆっくりお話したのは初めてだった。また東京とかでも会いましょうとなる。岩手県花巻市からミャンマートーク巡業中の村上巨樹さん来る。村上さんは昨日徳島、明日岡山でトーク。この日はこれから大竹伸朗展も見に行くとのこと。花巻でやっている古書店/中古レコード店『港』は先日1週間を迎えられたそうで、店でのいろんな出会いを聞かせてもらう。ネグ君来る。風邪をひいていたそうだ(コロナではなかったらしい)。こないだの福岡旅行の話をする。現実来る。現実というのは人名で、17,8年ほど前に高円寺でたまに遊んでいた。昔はアニールクマールという名前だった。今は地元の京都に住んでいて、やはり大竹伸朗展を見に来たそう。話していると、今度はシャイスケさんと矢島さんが来た。2人は京都で現実と何度か会ったことがあるようだ。おみやげをいただき、本まで売ってもらった。ありがたい。シャイスケさんと近況を話し合う。夜になり、今度は高知から来たという方と話す。自分と同世代で、ムサビ卒、卒業後も高円寺の素人の乱あたりで遊んでいて…と、自分と似たような人生を歩んでいた。これから夜行バスで東京に行くらしい。今後どうにか生活を面白くできないかなと言っていたので、とりあえず古物商許可をとってみたらどうですか、とおすすめしてみた。…こういろいろ書いているとあまり仕事をしていないようだけど、普通に品出し、均一本補充、発送準備などもやった。

閉店後も帳簿付けなどやっていたら、いつの間にか23時を過ぎていた。帰宅。シャイスケさんとinstagramのメッセージで熱いやり取り。シャワー浴びて寝る。


13日(月・祝)

朝8時に起きる。朝ごはん、洗濯、お弁当の準備。昨日届いたダイソンの掃除機を試す。いい感じだ。家電製品を選ぶのはほとんどまどに任せている。コーヒーを淹れ、昨日シャイスケさんと矢島さんからもらったきなこもちを食べる。

作業部屋へ行き、新しいキャンバスに手をつける。コクヨの『新・雑貨論』、FALL三品さんの回を聞きながら。アルバイトMさん来て、本の受け渡しと支払い。

開店。品出しなどゆっくりめに進めていく。三連休もこの日が最終日、客足も昨日おとといに比べればおとなしい。岡山のいぬ丸さん来てくれる。前回お会いしたのは『休みの集い』の1回目だったから、去年の2月か。月日の経つのは早い。いぬ丸さんは路上観察が好きで、グラフィティライターの貼るステッカーが気になるらしく、これ知ってますか?と画像を見せられたら、友達の貼ったものだった。この人音楽もやっていますよと伝えると、見に行きたいと言っている。意外なところに驚きがあった。ミヤジ来る。昨日は志々島でさっこがやっているお祭りに行ったらしい。滞在時間15分だったけどいろいろ話した。これから岡山を通過して大阪へ行き、東京へ戻るらしい。発送準備。この日はそれほど品出しできず、夜は疲れてぐったり。

明日はトンボ帰りで東京へ行ってきます。

2025年10月8日水曜日

両方ある(2025年10月07~08日)

06日(月)夜

閉店後、本を発送して絵の続き。コクヨ野外学習センターのPodcast、tatami antiquesの回を聞きながらやる。今まであまりPodcastって馴染みがなかったけど、BGM的にいろいろ聞いてみようか。絵は無事に完成。

帰宅。風呂に入り、岸政彦/柴崎友香『大阪』少し読み進めて寝る。


07日(火)

定休日。朝8時頃に起きる。朝ごはんを食べ、洗濯。バーバラ・ローデン『ワンダ』見る。まどかさんが以前おすすめしてくれた1970年(日本での劇場公開は2022年)の映画。監督はよく知らなかったが、数本の作品を遺して48歳で死去してしまったようで、エリア・カザンのパートナーでもあったそうだ。『ワンダ』では自身が主演もしており、全身から漂うなんとも言えないままならない雰囲気が荒れた映像の質感と相まって、胸にくる。アメリカンニューシネマの枠に入る作風ではあるけど、今であれば発達障害とか、よりいろんな見方もできるだろう。ラストも良かった。

スーパーへ買い物に行き、帰って料理。枝豆を茹で、ミートソースパスタを作る。食べきれないほど作ってしまった。昼ご飯。食べ終えてから2人で枝豆の皮むき。

まどと外出。なんだか体がだるい。高松市美術館にまどの荷物を取りに行く。待っている間、図書館で去年の夏に行われた倉俣史郎展の図録を見る。倉俣史郎について自分はたいして知らないが、60年代末にこんなライティングのインダストリアルな内装デザインを手掛けているなんてすごいな。展覧会行きたかった。

南に入り、読書。出て、店レジでCDRを焼く。特についでで店を開けるようなこともせず。

帰宅、料理。枝豆の梅おかか和え、卵焼き、味噌汁、ほうれん草おひたし。卵焼きは明日のお弁当用。ナスを炒め、午前中のミートソースと和えてなじませる。献立の中でナスの存在が浮いているけど、とにかく晩ごはん。お腹いっぱい食べた。

風呂、歯磨き。山中貞雄『人情紙風船』見始めるが、なんだか体調が悪く、頭に話が入って来ない。また改めて見ることにして、少し寝る。起きたら少し気分がましになった。まどの作業通話が今日も面白い。まどが買っていたこうの史代『空色心経』を拝借して読み終える。般若心経とコロナ禍の日常を組み合わせていて、しかもしっかりドラマもある。『大阪』読み進めて寝る。


08日(水)

朝8時半に起きる。朝ごはん、洗濯。お弁当の用意。まどがコーヒーを淹れてくれる。飲みながら読書。

YOMSももう開業から8年半以上が経ち、それだけ続いているということはそれなりに売れているということなのだろうけど、もっと「そりゃ、そうやれば儲かるでしょう」という傾向と対策からはみ出した、「なんだこれは」なこともやっていきたい。しかし、一番大事なのは買取や日々の品出しといった普通の古本屋業務。ちょっと変わったことをやりたい気持ちと、選書の良い普通の古本屋がやりたい気持ちと、両方ある。

開店。この日は平日にも関わらずお客さんが多かった。3人に1人くらいは海外の方だったかもしれない。店頭買取5件。最近出版されたサブカルチャー/ライフスタイル系の本や文芸誌など。ありがたい。ウェブショップのほうもけっこう動きがあった。ミクさんが11月に行う自主上映会のチラシを持ってきてくれる。1995年公開の『パーティーガール』4Kレストア版。燦庫にて。YOMSの営業時間とかぶっているけど、なんとか時間を作りたい。

翻訳を頼んでいた友人から返事来る。これであとはまとめるだけだ。できるだけ早めにやってしまわないと。明日の営業時間中もずっとこの作業やってようかな。

今日はもう帰ります。

2025年10月6日月曜日

まどトーク(2025年10月05~06日)

04日(土)夜

閉店後、本の発送。ビールとチーズを買い、店で飲みながら山田勇男『Feel』(2004年)見る。作家本人の意識は60年代アングラなのかもしれないけど、モデルの女性の服装やヘアメイクがかなり2004年の雰囲気が強く、音楽はタンゴで、タイトルはFeelだし、なんとなくいびつな質感の作品になっている。当時の東京を思い出した。帳簿付け。

帰宅。まどが奥田亜紀子さんやメグマイルランドさんなど漫画家仲間の方々と作業通話している。横で聞いていると「漫画家の人達はこういうところが気になっているのか」と発見があり、とても楽しい。しかし自分が会話に入ったら絶対に変な空気になるので、気配を殺している。まどはたまに「今、夫が帰ってきました」と言ったりするけど、他の方々に気を使わせていないだろうか。風呂に入り、オマル・ハイヤーム『ルバイヤート』読み始め、寝る。


05日(日)

朝9時に起きる。寝すぎた。朝ごはん、お弁当の準備。まどはこの日高松市美術館で石田尚志さんとトーク。だいぶ緊張している様子。

外出。店に寄り、郵便局まで歩いて本の発送。くつわ堂に入って少し読書。

開店の準備をしていると、石田尚志さんが来店。店のこともご存知だったとは知らず、驚いた。ご挨拶できて良かった。そのまま開店。品出し、発送準備進める。兵庫のリトルレンズ文芸舎さんより、徘徊系フリーペーパー『クロウラー』が届く。今回届いたのは兵庫県加西市の大正生命ビル(もちろん、Tobira RecordsとVoidも取り上げられている)編のVol.4と、岐阜県岐阜市の繊維問屋街編のVol.5。街歩き好きの人には目に留まる内容だ。

14時になり、高松市美術館へと向かう。美術館入口のロビーにたくさんの椅子が並べられている。文芸批評家の安藤礼二さんがいらっしゃっていて、自分もご挨拶する。まどに促されて最前列の席に座る。トークは石田さんさすがしゃべり慣れているなと感じたけれど、まども積極的に話していた。淺井裕介と多摩美の授業でグラウンドに絵を描いた映像を見れたのが良かった。害虫駆除のアルバイトの話も、想像するとゾッとするけど、面白かった。壁一面に〇〇〇〇がいて波打っており、それを目の当たりにした石田さんは「視界の真横あたりにうごめいているものこそ描かなければいけないのではないか」と感じた、という話。

店に戻る。蒸し暑くて途中アイスを買った。品出し、均一本補充など。疲れたのか、夜にどうも気分が落ちてしまった。特に何も大きな失敗はしていないから、別にいいんだけど。

閉店後、本の発送。またビールを買って作業部屋へ。少し本を読んで絵の続きをやる。東京の都立家政にあるギャラリー『スタジオ35分』のやっているPodcastに、先日YOMSに来てくれた池野詩織さんが出演している回があったので聞いてみる。佐渡のことについてたくさん話していて(佐渡を撮影した写真を35分で展示したようだ)、自分もまた行きたいなと改めて思った。

帰宅、シャワー。まどは石田さんと晩ごはんを食べに行っていた。いろいろお話できたようだ。多摩美で石田さんが教えている生徒さんの中には漫画家志望の方も多いようで、まどの漫画をみんな知っていたそう。うれしいな。『ルバイヤート』読み終えて寝る。


06日(月)

朝7時半に起きる。二度寝せず、朝ごはんを食べながらアンリ・フェスクール『子供たちの遊び』見る。15分ほどの短い映画で、話もごくシンプルなもの。1913年作品。洗濯物をたたむ。

まどは家でネームをやるとのことで、1人で外出。売上金を銀行に預けて南へ。岸政彦、柴崎友香『大阪』読み始める。岸政彦さんは今度写真集も出版されるらしい。ノートにドローイング。まずまずうまくいく。作業部屋へ行き、絵の続き少しやる。

開店。品出し、発送準備進める。つくばの土田君より、新作のカセットテープが届く。リズムの少しぎくしゃくした感じも愛らしい、暖かいムードにあふれた宅録集。振り込みして早速店頭に出す。来週の東京での予定を立てるが、行きたいと思っていた展覧会がことごとく休みで驚く。まあしょうがないか。この日も多摩美の学生さんが寄ってくれた。

今日はこれからまた絵。明日は定休日、だらだらしたいけどどうなるか。


2025年10月4日土曜日

すぐどこかに(2025年10月03~04日)

02日(木)夜

閉店後、在庫整理。早く帰ろうかなと思っていたのが、明日から瀬戸芸でお客さんが増えるはずだと思うと気合が入り、品出し開始。文学、宗教関連などを中心に出していく。その後帳簿付け。

23時半に帰宅。シャワーを浴びて、松下竜一『豆腐屋の四季』読み終えて寝る。


03日(金)

朝7時半に起きる。朝ごはんを食べ、一つ用事を済ませる。『美術手帖』1970年12月号読み始める。特集は「行為する芸術家たち」で、松沢宥、風倉匠、小杉武久、糸井貫二、GUNの前山忠などが取り上げられている。巻頭のヨシダヨシエの文章では荒木経惟が飯村隆彦を引き合いに出して語られており、時代を感じさせる。正直文章の内容は観念的すぎてあまり読む意味がないように思えるが、さらっと目を通していきたい。付録としてジョン・ケージ『マルセル・デュシャンのための音楽』(演奏は高橋アキ)が収録されたソノシートがついていたようだけど、あいにく欠品で残念。

作業部屋に行き、絵の続き。詰まってきていたので一度壊す。映画監督の川上さわさんがゲスト出演している、わたしのような天気(個人名)という方のやっているPodcast『物語に支配されたこのからだ』第2回を聴く。『ほろ酔いラブトーク』とのことで恋愛について話しているが、開始数分で非常にクイア性に富む内容にまで話が展開していき、お2人のテンポの良さもありぐんぐん引き込まれる。また改めて聴こう。

開店。品出しなど進める。久しぶりにCDRも焼く。雨が降ったり止んだりの嫌な天気で、頭痛はするし胃の調子もいまいち。

この日は早めに切り上げ、22時頃に家に帰る。COMIC熱帯で公開された奥田亜紀子さんの新作マンガ『シューリンガンの息子』読む。奥田さんならではのマジックリアリズム的な場面転換の鮮やかさに、今日的なトピックがいくつも盛り込まれている。いろんなアングルからの描き分けも楽しい。シャワー浴びて、美術手帖少し読み進めて寝る。


04日(土)

朝7時半に起きる。けっこう寝れたはずだけど、天気のせいかまだ眠い。外は曇っていて暗い。朝ごはん、洗濯、お弁当の用意。うとうとしつつ美術手帖読み終える。特集「行為する芸術家」の文章のほとんどは、やはり現在では読むに堪えないものだった。GUNの前山忠とPLAYの文章はまだ良かったか。オットー・ミュールのマテリアル・アクションの紹介記事や、秋山邦晴によるジョン・ケージについての文章もあった。

開店。瀬戸芸秋会期初日の昨日はそれほど人出はなかったが、この日はお客さんが多かった。品出し、発送準備進める。この日はtooniceでMaher Sharal Hash Bazのライブがあり、工藤冬里さん、ゑでいまぁこんのお2人、さっこが別々のタイミングで来店。さっこと能やこんぴら歌舞伎の話をする。岡山のNURIさんが3345でDJ予定のsakiさんを連れて来てくれた。

そういえば…とも言ってられないほど近い予定だけど、14日火曜日は東京にいるのだった。田中菫さんの個展を見て、それから音楽イベントに行く予定。

どれだけ周りが良い人ばかりでも、「この安心しきった状態はお互いにとって良くないんじゃないか」と考えてしまい、すぐどこかに行きたくなる。それが結果的に自分の人生の飛躍を生んでいる気がする。周りの人達への敬意は失いたくないし、不義理はせずにいきたいが。

今日はどうしよう、疲れたな。

2025年10月2日木曜日

福岡旅行(2025年09月28日~10月02日)

27日(土)夜

閉店後、コンビニで本の発送。店に戻り、荷物を取ってことでんで高松駅へと向かう。

22時半発の夜行バスに乗り、福岡へ。車内で植草甚一『ジャズは海をわたる』読み始める。ESPやBYGなど、自分の好きなレーベルについて多く語られていて楽しい。夜明け頃にちょうど壇ノ浦PAで休憩、関門海峡を見ることができた。


28日(日)

朝8時前、博多駅前に到着。とても大きな駅。今まで見た駅の中で一番くらい大きく感じる。近くのサウナで朝風呂。博多駅近くで割高だったけど、きれいなところだったしさっぱりできた。

佐賀から戻る途中で福岡に寄っていたメグマイルランドさんと喫茶店で待ち合わせ、いろいろお話。ギャラリーに勤めていた時のこと、アイルランド音楽、佐賀での幼少期のこと、漫画を描き始めたきっかけ、などなど。メグさんはいろんな物事に興味を持っている様子が作品にも反映されていて、今後どう展開していくのかわくわくさせられる。よく調べずに喫茶店を指定したらかなりたばこの匂いがするお店で、申し訳ない気分になった。すみません。

メグさんと分かれ、地下鉄に乗り天神中央公園へ。昨日からNOT NEW MARKETというイベントが行われており、鳥取のがふさんや久留米の鋤田収集事務所さんが出店中。がふの長谷川さんと久しぶりに話す。長谷川さんとは地元が近く、なんとなく勝手に新潟ぽい(北国ぽい?)人だなあといつも思っている。話すテンポの波長が合うというか、聞いていて落ち着く。ネットのポーチを購入。他のブースでも100円のシングルレコードを3枚買った。鋤田さんは諸事情あり設営中、明日また会うし挨拶だけして出る。

中央公園にあるアクロス福岡をささっと見学。先日九州大学の企画でレム・コールハースの講演が行われていた。設計はエミリオ・アンバース。正面から見た時の緑のボリュームと、側面・背面のガラスとの対比。正面の段になっている構造は建物内部の吹き抜けにも見られ、建物の中にまたいくつもの建物があるような視覚効果を生んでいる。

歩いて赤のれんというラーメン屋へ行く。後藤慎太郎さん(お会いしたことはない)がおすすめしてくれた。10人くらい並んでいたが回転が速く、すぐに入店。ラーメン、半チャーハン、餃子3つで780円。この立地で今時この値段は安い。ラーメンはあまりしつこくなく、とても食べやすかった。

再び地下鉄に乗り、六本松へ。古書店・徘徊堂さんに行く。店内にはところどころに在庫が積まれている。曽根中生自伝、いましろたかし/狩撫麻礼『タコポン』など欲しい本がたくさんあったが、絞って高野慎三『貸本マンガと戦後の風景』購入。ちょうど山田勇男の映画を見たところだったし、ちょうどいいタイミングだった。

天神に戻り、レコード店めぐり。一番行きたかったSEXTANSがなぜかお休みで残念だったけど、ボーダーラインレコーズでCD5枚ほど購入。SUGAR MINOTTのワッキーズからのアルバム、Staubgoldからのfaustの未発表音源集、ほか日本のインディーズのものを買った。

ホテルに荷物を預け、薬院へ。あまねや工芸店に行き、メキシコのグラスを買う。厚めでおおぶりのもの。店主さんは閉店15分に来た自分にもいろいろなことを話してくださった。近くのカフェで少し休憩。

本屋青旗に行き、TOKYO ART BOOK FAIRの東さんと合流。青旗スタッフの中村さんはYOMSのSNSをチェックしてくださっているようだ。店内では、oar pressから作品集出版に関連して木下理子さんの個展を開催中。デザインを手がけた明津設計さんの文章もリーフレットで配布されていて、とても良い。『小柳帝のバビロンノート 映画についての覚書4』購入。女性映画監督の特集で、面白そうだ。

青旗を出て、東さんと川崎さんと少し歩き、居酒屋へ入る。小さいがいろんなお魚が食べられる小料理店といった雰囲気のお店で、アワビや鯨など普段あまり食べることのない海鮮をいただいた。建築や海外の出版/アートブックフェア事情、エディトリアルデザインなど、貴重な話がいろいろできた。川崎さんと商売の話も少しする。

ホテルに戻る。道中に見かけた屋台は想像よりもおしゃれな雰囲気だったが、もっとディープな雰囲気の場所もあるのだろう。シャワーを浴びてランドリーで洗濯。乾燥機なかなか時間がかかる。新潟のホテルでも同じ失敗をしたような。『ジャズは海をわたる』読み終え、向井一太郎・向井周太郎『ふすま』読み始める。なんとか洗濯物が乾いた頃にはもう1時。さっさと寝る。


29日(月)

朝7時半に起きる。顔を洗って荷物をまとめ、さっさと出る。ホテル近くの『弥太郎うどん』に行くが、以前24時間営業だったのが最近変わってしまったようで、開いていなかった。この時間帯朝ごはんにうどん食べたい人は多そうだけどな。しゃれた雰囲気の天神地下街にあるうどん屋さんで食べる。

西鉄に乗って大宰府へ。天満宮への参道を、梅が枝餅を買って食べながら歩く。雨降りそう。藤本壮介設計の太宰府天満宮仮殿を見る。御帳と几帳のデザインはMame Kurogouchi。この仮殿は現在改装中の本殿に代わり建てられたもので、来年解体される予定。屋根の上には草木が生い茂っている。海外からの観光客が多い。おみくじ引く、大吉。遊園地の入り口付近にあるローレンス・ウィナー作品も見る。ライアン・ガンダー作品は現在非公開になっている模様。大宰府天満宮で見れる現代美術作品はコンセプチュアルな作風のものが多い。昨日東さんと川崎さんに聞いた話でも、天満宮側がかなり意欲的な方々のようだった。アートブックフェアをやった時も感触が良かったらしい。

大宰府駅近くにある喫茶店『風見鶏』でアイスオレを飲み休憩。店内はオルゴールが流れている。『ふすま』続き読む。言葉遊びのような言い回しが多く、どうも気持ちが入っていかない。表紙にモホイ=ナジのドローイングが使われていて期待したのにな。

再び西鉄に乗り、久留米へと向かう。雨が強くなってきた。『ふすま』読み終える。タイキさんと合流し、車に乗せてもらってMINOU BOOKSへ行く。鋤田さんは少し遅くなる模様。本見て、カフェスペースで近況など話す。INA『20光年』購入。まどもそういえば読みたがっていたなと思い出し、お土産も兼ねて買った。鋤田さんと合流し、ピーコックという老舗の洋食屋でランチ。その後鋤田さんのお店へ。タイキさんと鋤田さんの会話を聞いているだけでも面白い。2人の問題意識は共感できる。塗装のはがれが良い加減になっている犬の置物を購入。

鋤田さんは福岡市まで出店の片付けに向かい、自分はタイキさんにJR久留米駅まで送ってもらう。駅前の駐車場で立ち話。タイキさんは特に商売というわけでもなく日々いろんなモノをいろんなところから買い付け、それを信頼できる人に安価で売るか、譲るかしている。タイキさんのモノと貨幣経済の関係性についての考えはこの世の中では非常に独特なのかもしれないけど、自分はすごくまっとうなことを言っているように感じるし、背筋が伸びる気持ちになる。この日はアート周辺の経済について話した。なんとなく横須賀の朝田翔一郎さんのことを思い出したので、朝田さんのことも「こんな人がいるんですよ」と伝えた。

JRで2時間ほどかけ、小倉へと向かう。車窓に田園風景が広がっている。『20光年』を早速読み終え、松下竜一『豆腐屋の四季』読み始める。徘徊堂さんにも松下竜一の本が何冊かあって気になったけど、松下は大分生まれだった。電車は下校/退勤の時間帯の割にそれほど混まず、快適。

小倉着。想像以上に大きな駅。夜行バスの発車場所を確認し、九州唯一のストリップ劇場『A級小倉』で一番最後の回の開始時間を確認。店先のおじいさんに聞いてみると「21時半かそんくらい。前後もするけどまあ21時15分に来てたら間違いない」とのこと。とりあえず「グリーンランド」というサウナへ行き、汗を流す。館内着のハーフパンツが脱衣所に畳んで重ねられていて、サウナに入る時や脱衣所で休憩する時はそれをはくようだったので、そうした。出て、少しふらふらと歩く。老舗の角打ちは割と早めに閉まるようで、夜になると開いているのは新しめのお店ばかりになる。資さんうどんを見つけ、よく聞く名前だなと気になって初訪問。安いしおいしかった。福岡のうどんは香川と全然違うけど良いな。A級小倉のほぼ隣にある、24時間営業の焼肉居酒屋『白頭山』に入る。カウンターに座り赤星と枝豆、鶏の唐揚げ。お通しはキムチ。一人で飲みながらゆっくり本が読める。

風呂に入ってさっぱりし、お腹も満たされたところで、A級小倉に入る。前にストリップへ行ったのは松山ブックマルシェ出店時のニュー道後ミュージックで、約一年前のこと。劇場内は広く、既にたくさんのお客さんがいる。女性も数名。道後よりも入場料が割高だけれど、その分出演する演者さんの数が多い。バスの時間もあり全てのパフォーマンスを見ることはできなかったけど、5人中4人を見ることができた。それぞれ演出に趣向が凝らされている。暗転から照明がついてオタクっぽい?キャラクターの演者さんが登場した瞬間、最前の常連のお客さん数名がいつの間にか公式のハチマキをつけていたのには「すごい」と感心(しっかりオタ芸もやっていた)。ほか、天井から吊り下げた布に体を絡ませて回ったりと幻想的な演技が特徴的な方もいた。ストリップはユーモアも多く、「別に脱がなくても楽しめるんじゃないか」と思える瞬間もあるけど、エロ込みで成立しているはずだし、それゆえに大真面目に語られづらいのもまた面白い。不思議な位置にある芸能だなと思う。

バスに乗って高松へ。


30日(火)

朝8時頃に高松に着き、電車に乗って帰宅。荷物を片づけて、10時過ぎまでベッドで寝る。

まどと大宰府で買ったお土産の梅が枝餅を食べるが、ちょっと固い。南へ行き、旅行中のことなど話す。読書。ノートにドローイングも描くが、最近あまり描いてないせいかいまいち調子出ず。出て、パンを買ってグリーンのベンチで食べた。

店へ。発送がたまっているので進める。メールの返信。ついでに開けていると、お客さんがやってきて少し売れた。買取についての相談も受ける。ripple coffeeさんが「深夜珈琲」に出していた本や雑誌を車で持ってきてくれた。助かります。前回よりも反応があったようでうれしい。今後も続けていくとのこと。

18時過ぎに店を出て、スーパーに寄って帰る。まどが味噌汁と豚しゃぶを作ってくれていた。自分は空心菜炒めを作る。晩ごはんはネギトロ丼と空心菜炒めと味噌汁。豚しゃぶは明日のおかずに取っておく。

風呂に入り、内田吐夢『血槍富士』見る。先日聞いた『ゼーロンの背中』でも言及されていて気になった映画。中国より復員した内田吐夢の戦後第一作で、企画がマキノ雅弘の弟・マキノ満男、企画協力が伊藤大輔、小津安二郎、清水宏、溝口健二とものすごい面子。90分ほどの尺で登場人物たちのキャラクターが細かく描かれていて、特に子供たちの愛らしさが印象に残る。終盤の立ち回りの無残さ。


01日(水)

朝9時頃に起きる。朝ごはんを食べ、根菜の煮物を作る。お弁当の用意。洗濯。まどは先に外出し、自分は先月分のレシートの整理と家賃の振り込み。

外出、店へ。在庫整理を進める。そのまま開店。瀬戸芸の秋会期はあさって3日からだけど、既に国内外から観光客が増えてきているようだ。この日は少しだらけたのと、冷蔵庫に入れていたペットボトルのお茶が少し悪くなっていたようで胃を痛めてしまい、あまり作業進まず。

閉店。胃の調子が回復してきたので、ブログの更新など23時過ぎまでがんばる。帰宅、風呂に入って寝る。


02日(木)

朝8時に起きる。朝ごはん、洗濯、お弁当の用意。まどと南へ行き、『豆腐屋の四季』続き読む。ノートにドローイング。この日も調子は相変わらずいまいち、しかしなんとか1枚完成させる。

開店。本の査定と在庫整理を進める。BOOK WEEKENDが終わって以降棚への補充がままならず、ところどころ隙間が開いてしまっている。早く埋めてしまいたい。最近は均一本がよく売れている。まめに来てくれる常連さんも増えた気がする。もっと期待に応えられるようなお店にしたい。

SNSを見るといろんな情報が入ってくる。今月のちくま学芸文庫はどれも面白そう。来週末、三木町で鎌倉芳太郎に関するシンポジウムが行われるようだ。東京都現代美術館で年末からソル・ルウィット展が始まる。

今日はこれから在庫整理の続きをやり、少しゆっくりする。