2024年6月22日土曜日

いろいろ日記(2024年06月21~22日)

20日(木)夜

閉店間際、『高松まちなか人物伝』という冊子を閲覧コーナーに置く。2006年の発行で、商店街の組合長、二蝶の大女将、ライオンカンの元支配人など、重鎮たちへの聞き書きが掲載されている。SNSに紹介の投稿をすると、フォロワーの方から「ライオンカンは矢野サーカス/矢野移動動物園の成功祈願で命名された映画館のはずです」とリプライをいただいた。軽く調べてみると、ライオンカンは大正11年に開館したようで、『ライオン通り』というのはそれにちなんでつけられた名前らしい。今まで「ライオンカンはライオン通りにあるからそういう名前なんだろう」と思っていたけど、順番が逆だった。

閉店後、作業部屋で絵の続き。BGMに、栗金商店で買った威力さんのmixCD『光速と弾炎』や、大阪のFun Tricks! Recordsで買ったsuwaWanderのCDRなどを聞く。どちらもとても良い。suwaWanderさんは2000年前後の懐かしいIDM感がある。絵も良い感じに進んだ。本を出荷して帰宅。くたくた。眠い。シャワー浴びて寝た。


21日(金)

朝8時前に起きる。朝ごはんを食べながら、YouTubeに公開されている、写真家・富澤大輔さんとデザイナー・浅田農さん(明津設計)のトークイベントの記録動画を見る。司会は吉祥寺にある写真集専門の書店book obscuraの店主黒﨑由衣さん。富澤さんの写真集はyomsでも扱っている。写真集ができるまでのお2人のやりとりが興味深い。浅田さんは編集者的な気質もあるように感じた。日々たくさんの写真集をご覧になっている黒﨑さんならではの視点も面白い。自分も本を売って生活しているわけだけど、本を作る側のことは何も知らないし、あるジャンルを専門に扱っているお店は商売のやり方も全然違う。

まどと外出、南へ行く。平芳幸浩『マルセル・デュシャンとアメリカ』読み始める。平芳さんのデュシャンについてのお話は、2年ほど前に高松市美術館で聴講した。この本はデュシャンの作品論というよりは、同時代のアメリカ美術の動向、デュシャンのそれに対する振る舞い、その振る舞いに対する批評や評価、の3つがどういう関係にあったかを丹念に見ていくような内容で、とても面白い。グレゴリー・ベイトソンとデュシャンの対話(鼎談の中の一部分)で、ベイトソンが「ある種の創造が別種の創造より重要であることはありません。しかし、創造者を感じる芸術作品と、技術的な熟練に埋没しているがために創造者を感じない劣った芸術作品とを区別するのとは重要でしょう。」という発言をしていて、なんだか意外に思った。それに対するデュシャンの返答「いいえ。私は創造者に対して何も感じません。」は、いかにも「らしい」感じがする。

作業部屋で絵の続き。昨日進めていた絵が完成する。早すぎる気もするけど、一旦これで止めておこう。いい具合に午前中からいろんなことができた。

開店。均一本の補充、品出しなど進めていく。出張買取の依頼が入る。ちょうど火曜日に車を出す用事があったので、その日にお伺いすることに。かなり量は多そうだ。なんだかしゃれた感じの若い一人客の方が多い。高知の黒潮町より、『山本書店』の岡本さんがいらっしゃる。この秋に黒潮町で古本市を開催するそう。高松からは高速で3時間ほどらしい。岡本さんはこれからオリーブホールで行われるカネコアヤノのライブに行くとのことで、今日若い一人客が多いのはそういうことかと、謎が解けた。夜は発送準備を進める。

閉店後、本の発送。交番裏にはライブ後の余韻を楽しんでいる人が多く、良い雰囲気。この日は午前中で絵も完成したし早めの帰宅。まどがBLACK HOLEの黒沢清特集を見ていた。アンリ=ジョルジュ・クルーゾー『密告』見る。階段と大きく伸びる影、登場人物を追い立てるように響き渡る不気味な怒号。緊迫感を演出する照明の揺れが、やがて止まると今度は時間の経過を表す。ラストのめまぐるしい展開がいい。シャワーを浴びて、八木義徳『家族のいる風景』続き読んで寝る。


22日(土)

朝6時半に起きてしまい、もう一度ベッドに入るが眠れず、そのまま起床。『家族のいる風景』読み終える。朝ごはんを食べ、先日届いた映画zine『ORGASM』11号を読み終える。

お弁当を用意して外出。作業部屋へ行く。こないだネットで買った、ドイツの電子音楽のコンピレーションアルバムを聴く。シュトックハウゼンを感じさせるような電子音やミュージックコンクレート、ボーカルの入った曲もある。絵の続き。以前から進めていた板パネルの絵が完成。もう少し手を加えるか、どうしようか。

開店。ばたばたとお客さんがいらっしゃり、買取もありでなかなか忙しい。まどかさんが来週末に茎で開催するポップアップのフライヤーを持ってきてくれる。ヒマさんとDORSIAの方がいらっしゃり、お話。ヒマさんは先日福岡の太宰府天満宮で行われたアートブックフェアに出してきたそう。太宰府天満宮は改修にあわせた仮殿の設計を藤本壮介に依頼してMame Kurogouchiも関わっていたりとか、いろいろやっていたな。

まどが来て、店番を代わってもらい、3人で今日から始まるSyndicateのグループ展を見に行く流れに。雨が降ってきた。到着すると、看板が出ておらず、ギャラリーが暗い。どうやらこの日は17時から行われるオープニングパーティーからギャラリーも開くということらしい。同じビルの3階にアトリエを借りているジュノ君がたまたまいたので、半ば強引に誘い出し、なぜかビルの屋上へ行ったりする。そしてDORSIAで4人でおしゃべり。予定は狂ったけど、なんとなく梅雨らしいだらっとした時間だ。

店に戻る。砂古口さん久々にいらっしゃる。砂古口さんは笠置シヅ子の伝記を書かれた方で、去年は朝ドラの関連で忙しかった。現在新著を準備中とのこと。そういえば、こないだ読んだ鶴見俊輔『大衆芸術』に2ページくらい笠置シヅ子のことが書かれていたな…と思い出して伝えると、ご購入いただけた。うれしい。この日は少しずつ雨足が強まって夜はお客さんが少なかった。郵送買取の金額が了承取れ、振り込み。さらに別件の査定を進める。

もう遅くなってしまった。少し絵をやろうか、どうしようか。

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