23日(木)夜
意外と早く準備が終わり、帰ってシャワー。Borowczyk & Lenica "Dom"見る。チェコの作家によるストップモーションアニメ、1959年作。10分ほどの作品で、ピコピコした電子音も良い感じ。
24日(金)
朝7時に起きて、着替えなど荷物を持って出る。店に一旦荷物を置いて、南でモーニング。ゼーバルト『土星の環』読み進める。まどは頭が痛いと言っている。
9時にレンタカーを借りて出発。店で荷物や本を積み込む。ハイゼットの荷台は思ったよりも余裕があるが、空いたところに実家に置いてある絵を積み込む予定。高松中央ICから高速に乗り、明石大橋経由で神戸方面へと向かう。自分の運転で明石大橋を渡るのは初めて。神戸の団地が迫ってくる光景にはいつも興奮する。
神戸西、神戸、吉川とジャンクションを立て続けに通過して、舞鶴若狭道へ入る。兵庫県の真ん中あたりにある西紀SAで昼ご飯。山菜そばを食べる。舞鶴若狭道は山深いところを走り、途中なんども車線減少区間がある。時折2車線になって追い越し可能となるが、荷物をたくさん積んだライトバンは加速が弱く、後ろからやってきた車にあおられて結局左車線に戻ったりした。福井県に入ると、トンネルと、敦賀湾を望む美しい景色とが交互に現れ、とてものどか。途中で休憩したSAにはなめらかに動く恐竜のロボットなんかもあった。そういえば福井は恐竜で有名だ。
運転中、まどがずっとフィッシュマンズやゆらゆら帝国なんかをかけていて、延々とそれらを聞きながら美しい山間を走っていると、自分の肉体を通して、20年前にいた自分と趣味の似た若者の青春を追体験しているような、すごく不思議な気分になった。
石川県に入ると天気がやや崩れ、寒くなってきた。徳光PAというところに立ち寄る。ここは歩いて温泉施設へ行くことができる。とても広い湯舟で、海からの風が吹く場所で外気浴もできて、とても良かった。
雨が降り始め、19時過ぎごろに富山ICに着。総曲輪(そうがわと読む)へ行き、富山在住の高森君と合流。高森君は大学の後輩で、デザイナーを生業としており、今回出店する『BOOK DAY とやま』のフライヤーなどのデザインも手掛けている。去年yomsに来てくれた時、少し冗談混じりに「齋藤君も富山で出店してほしいすね」と言ってくれて、実家にも帰省がてら絵を取りに行きたいなとなり、今回の出店につながった。高森君は高松のライブハウスtooniceの周年記念Tシャツをやったかと思えば富山の工芸家の方とも仕事をしたり、お笑いコンビ・空気階段のグッズもデザインしたり、仕事の幅が広い。人となりもいつも自然体で尊敬する。とりあえずご飯にしますかとなり、近くのメキシコ料理店でタコスやブリトーなど食べる。とてもおいしい。幕張メッセで行われたヒップホップの巨大フェスPOP YOURSに行ってきたそうで、その話なんかをいろいろ聞く。店を出て、泊まらせてもらう高森君の事務所へ移動。ここでも話す。共通の友達も多いので話題は尽きない。
結局この日は12時くらいに寝たか。昼に温泉に行っておいて良かった。
25日(土)
朝7時頃に起きる。搬入の手順を確認して富山駅へと出発。会場は駅の構内で、周囲は交通量が多いため緊張する。しかし実際行ってみると意外にわかりやすく、本を運ぶのも古本ブックエンドさんやスタッフさんが手伝ってくださりとてもスムーズにやれた。事務所の駐車場へ車を停めて、再び駅へと歩く。富山駅の周辺には緑が多い。路面電車がたくさん走っていて、岡山と同様、古い車輌も新しい車輌もあり面白い。富山駅の構内にまで路面電車が入り込んでいくのがまたかっこいい。
設営開始。今回は長机2つを使う。本を入れていた木箱から一旦本を出し、箱を立てて、さらに板を渡して棚を作っていく。後で他の出店者さんのブースを見ると、大抵皆さん木箱のみを並べていて、改めて自分の棚を見ると、なんだかすぐ倒れて崩れそう。改良が必要か。
とにかく設営は完了し、イベントがスタート。駅構内ということもありお客さんはかなり多い。海外からの観光客もたくさん通っていく。初見のお客さんからのzineへの反応が、思ったより多かった。古本も単価の高いものがけっこう売れた。yomsのブースは名古屋のON READINGさんと堀道広さんの間で、どうなるだろうかと思っていたけど、特に閑古鳥になるようなこともなかった。神戸・1003の奥村さんや、彦根・半月舎の御子柴さん、田口さんとも再会。お昼ご飯はます寿司。
途中まどに店番を頼み、駅構内でお土産を買い、他の出店者のブースを見る。富山や石川の古本屋さんの品揃えが皆素晴らしく、四国唯一の出店者である自分はどれだけやれているだろう?と思わず焦ってしまった。焦りつつも、ちゃっかり本を買う。チュツオーラ『やし酒飲み』、『デュシャンは語る』(この2冊は買い直し)、磯崎新『空間へ』、バシュラール『蝋燭の炎』、小島信夫『どちらでも』、ブルーノ・ムナーリ『モノからモノが生まれる』(線引きのため安価)。
イベントが無事終了。自分はこの日のみだけれど、大半の方は明日も出店されるようだ。荷物をまとめて、車を取ってきて運び出す。『古本いるふ』の天野さんにもご挨拶。またの機会にゆっくり話したい。高森君、まど、堀道広さん、工芸品店『林ショップ』の林さんと5人で居酒屋へ。富山ローカルの料理もいろいろ食べられるお店で、薄く切って鶏皮のように串に刺したこんにゃくに生姜醤油をかけた田楽や、行者にんにく、魚のすり身を揚げたものなどを食べた。けっこうビールも飲む(この時もヘトヘトだと感じていたけど、その後の数日間の自分の状態を考えると、疲れはまだ全然序の口だった)。堀さんと共通の知人が何人かいるということがわかる。林さんは買い付けで各地にお住まいの作家さんを訪ねるらしく、四国にもよく行くとのこと。店を出た後は林ショップへ。カップや箸入れなどを買う。林ショップの横は『スケッチ』というお店で、いろんなイベントなども行われているらしい。近くにもカフェや古本屋さんがあり、この通りはかなり楽しそうな雰囲気。今回はほぼ出店のみで慌ただしかったけど、また来たい。堀さんから、新潟の『角上魚類』が長野や東京に進出してきているからチェックしておいたほうがいいですよ、と助言?をいただいた。
『BOOK DAY とやま』のフライヤーやポスターには毎回堀さんのイラストが使われていて、高森君がデザインしている。なんというか、やはりしっかりとした(って何?という感じだが)デザイナーやイラストレーターが関わって、イベントのイメージをぴしっとまとめ上げていると、お客さんからの反応もだいぶ違ってくるように思う。もちろん、どういう客層に向けて開いていくかはイベントによって異なるけれど。
26日(日)
朝7時半頃に起きる。この日、高森君は朝から地域のソフトボール大会に出場。自分とまどは早めに事務所を出る。街中からそれほど離れていない距離にあるスーパー銭湯『満天の湯』へ。朝8時からやっていて、早くも地元の方々がたくさんいる。露店風呂には緑も多くて、全体的にとてもきれいな施設だった。富山IC手前のパン屋さんで朝ごはんを食べる。
高速に乗り、新潟へと向かう。遠くにまだ雪の残った立山連峰が見える。富山と新潟の県境付近はトンネルが続き、親不知子不知のあたりでは道路が海にせり出しているような箇所もある。迫力のある景色。上越のあたりまで出ると、打って変わってのんびりとしたまっすぐの道が続く。運転は楽だけど眠くなる。途中米山SAで休憩。山菜そば大盛り食べる。
新潟西ICで高速を降りて、佐渡汽船のフェリーターミナルへ。ターミナルに一番近い立体駐車場は満車。近くの朱鷺メッセでイベントが行われている関係か。仕方なく、少し離れた駐車場に停める。ターミナルへは徒歩20分ほどで、けっこう遠い。時間に余裕をもって出て良かった。ターミナル内は日曜夕方の便のため混雑している。ここに来るのは小学校の修学旅行の時以来で、30年ぶりのはずだけど、なんとなく既視感があった。覚えてるもんだな。
新潟から佐渡の両津港へは2時間半ほど。乗り慣れている皆さんは早々に座敷のコンセント付近に陣取り、ブランケットをかぶって眠り始めた。本を読んでいる人もいる(海上は電波がない)。自分も耳栓をして仮眠。この日は船の揺れは穏やか。起きて、鶴見俊輔『大衆芸術』続き読む。
両津港に着き、通路を歩いていると、幸乃ちゃんと耕君が『歓迎 YOMSご一行様』という札を持って待ってくれていた。2人とは香川で知り合って、それなりに長い付き合いになるけど、会うのは久しぶり。レンタカーを借りて、耕君に運転してもらい港を出発。佐渡の風景は独特。建物も牛乳パックのような形が多くて面白い。夕暮れの田んぼの上をトキが飛んでいた。換羽期で羽根が一部黒ずんでいる。
途中2人の知り合いがやっているイベントに寄ったり、山でのボヤ(結局、すぐに消火できた模様)に遭遇したりしつつ、予約してくれた居酒屋へ。豪華なお刺身の盛り合わせなどを食べる。富山で買った、お土産のます寿司を渡す。その後、泊まらせてもらう2人の家へ。車がないと行けない場所ではあるけど、すごく大きな家で驚いた。買ったらしい。かわいい猫たちとたわむれる。お茶を飲みながらいろんな話をした。佐渡の一部地域では「ばってん」という方言を使う人もいるらしい。これも昔の北前船の名残りなのだろう。新潟では全く聞かない。
27日(月)
朝起きて、みんなで小木港のカフェKaffaへ行く。Kaffaのご夫婦は元々東京でお店をされていたそうで、佐渡で開催された音楽イベントに行ったのが移住のきっかけとなったそう。コーヒーとカンパーニュトーストをいただく。幸乃ちゃんと耕君はそれぞれのお店の準備に向かい、ここからは別行動。
車で宿根木方面へと向かう。途中、岩屋山洞窟の摩崖仏を見る。山道を少し上ったところに洞窟があるのだけど、その周囲にもたくさんの仏像があり、それが坂を登り切ったとたん一気に視界に飛び込んでくるので、かなり面食らう。奥のお堂部分は畳まれたゴザなどが積んであり、妙に人のいた気配がある。あまり霊的なものを信じるタイプではないけど、自分もまどもしばらくめまいがした。
雨が激しくなってきた。宿根木の集落を見る。宿根木は谷間のような地形にあり、その中を水路が様々な方向に通っていて、それらを縫うように様々な形の家が密集している。木の扱いに長けた船大工たちが建てた家は微妙に直角になっていなかったり、三角形の土地の上に建てられていたりと、とても見ごたえがある。港のほうに行くと、黒い岩の上に白い石の柱が何本か立っている。『舟つなぎ石(シロボウズ)』というそうで、瀬戸内海から運ばれた御影石を使っているとのこと。近くの小木民俗博物館にも行く。大きい北前船が再現されており、中に入ることもできる。生活雑貨がたくさん並べられた展示室の中には「佐渡の物は一つもありません」という札が立てられた部屋もあり、率直だなあと思わず笑ってしまったけど、貿易が盛んに行われていたことが偲ばれた。
小木港の食堂で昼ご飯。ブリかつ丼はカツが5枚ほども乗っていて、すごいボリュームだった。羽茂大崎へ。幸乃ちゃんの経営する書店『ニカラ』と、耕君の経営するドーナツ店『タガヤス堂』を訪ねる。ニカラには自分の絵も2枚展示されている。ニカラは小さな書店だけれど内容は充実している。橋本倫史『観光地ぶらり』、柴崎友香『あらゆることは今起こる』の2冊を購入。タガヤス堂では実家へのお土産にドーナツと、自分たち用にラスクを購入。買っているうちにどんどんお客さんがやってきた。繁盛している。
両津港へ向かう。途中ものすごい豪雨に降られる。高松でこんな雨が降ったらちょっとした騒ぎかもしれない。レンタカーを返却。この会社は港まで送迎を出してくれて助かった。帰りのフェリーでも小一時間寝た。『大衆芸術』続き。2時間半という乗船時間は、少し長めの映画を1本見るのにもちょうどいいなと思った。
新潟港に着くと、だいぶ日も暮れていた。実家へと向かう。ナビを入れると普段使っている道とは全く違う経路を案内され、若干戸惑うが無事に到着。弟(2)一家は既に食事を済ませていたけど、また集まってくれた。弟(1)は最近また漫画を描いているらしい。まどにいろいろ話を聞いていた。弟(2)はサッカーチームで教えているようで、子供もそこに通っているらしい。20年前は3人とも少し似たところがあるかな…と思えたけど、もう全然違う。というか、別に気にならなくなった。ビールを注がれるままに飲んでいたらいつの間にか気持ち悪くなり終了。
28日(火)
朝起きて、シャワーを浴びて朝ごはん。両親は数年前に退職して、なんとなく柔らかい人になった気がする。この日も外は雨。
3年くらいずっと履いていたビルケンシュトックの革靴の右足、靴底がはがれてしまった。気に入ってるし、修理に出そう。
実家の倉庫にしまっている自分の絵を整理。「おっ」というのもあれば、「もうこれはさすがにいいだろう」というボロボロなのもある。選別しながら、持って帰るべき絵を見繕って車の荷台に積み込む。どうやら高松まで運ぶべき絵はそう多くはなさそうだ。悲しいような、清々しいような、不思議な気持ち。
居間で一休み。父が曾祖父の回想記をどこからか発見したようで、タイプし直してプリントしたものをくれた。大正時代から戦後すぐくらいまでの出来事が中心で、関東大震災で被災した東京の様子、英語を勉強して海外へ行こうとしたが叶わなかったこと、家父長制への違和感などが綴られている。リベラルな思想を持った人だったようだ。戦争中は仲良くなった医務室の係からこっそり栄養剤をもらって健康を保っていたとのこと。なんとなく、自分は曾祖父の気質と、祖父の勘ぐり癖が合わさってできているように感じた。昼ご飯に温かいそうめんをいただく。昔、週末の昼ご飯は野菜やちくわ、鶏肉なんかを入れたそうめんをよく食べていたなと思い出した。
新潟市内へと向かう。途中、最近できたらしき道の駅を見かけて寄ってみる。ちょうどよくお土産を買うことができた。雨は止みそうもない。
古本もやいへ久しぶりに行き、三原さんといろいろ話す。三原さんは沼垂テラス商店街でfish onという古書店をやっていたけれど、そちらは閉店されて、もやいへ合併という形になった。同業者と商売のことについて話すのは楽しい。保坂和志『未明の闘争』(これも買い直し)、岩波文庫のフランク・オコナ―短編集、オルダス・ハクスリー『知覚の扉』、80年代キネ旬のトリュフォー特集号を購入。良い本がたくさんある。もっとたくさんのお客さんに行ってほしい。
万代のABCマートでVANSのスニーカーを買い、北書店へ。移転してから初めて来た。『堀口捨巳建築論集』と、古本コーナーから『世界の映画作家』シリーズのレネとアントニオーニの号、川端康成『伊豆の旅』を購入。古本コーナーは移転前の店舗にはなかったような。佐藤さんと久しぶりにお話。5年ぶりくらいだけど、覚えてくださっていた。緊張したけどお話できてうれしかった。
北書店から少し歩いたところにある、佐藤さんおすすめの喫茶店『シャモニー』で休憩。ブレンドとアップルパイ。シャモニーはこの辺に何店舗かあるようで、とても良い雰囲気だ。お客さんの年齢層も幅広く、愛されている感じが伝わってくる。
出て、まどは萬松堂へ行き、自分は西堀ROSAのキングコングへ。雨が降っているし、どうしようか迷ったけど、行ってみて大正解。前から欲しかったPentax(Mike Inkの弟Reinhard Voigt)のアルバムが2枚あり、他にもNU GROOVEのコンピレーションなどが安く見つかった。デトロイトテクノのコンピレーションなどもあったが我慢して、ある程度絞って買う。西堀ROSAは無くなってしまうらしいがキングコングは移転するのだろうか。続いてほしい。
ホテルでチェックインして荷物を預け、yoyoさんが沼垂でやっているヴィーガンレストランmoutain groceryへ行く。天気は嵐のようだけど、自分たちの他にもお客さんがいた。yoyoさんとは東京で知り合って20年くらいになる。その時はまさか新潟でレストランを開くとは思わなかった。ダルカレー的な料理をSHOKKIさんの器に盛って出してくれた。埼玉で行われた芸術祭に参加したことがあるそうで、その時はいろんなハーブやスパイスを漬け込んだお酒を屋台に乗せ、移動販売していたらしい。高松でもやってほしい。
ホテルに戻り、シャワー。ランドリーで洗濯もするが、なぜか乾燥機の性能が異様に弱く、1時間くらい回しても乾かない。濡れたのをそのままにしておくわけにもいかず、眠いのをがまんして待ち続けた。
29日(水)
朝8時頃に起きる。この日は金沢へ。荷物をまとめて早速高速に乗り、黒崎SAで軽く朝ごはん。通勤時間帯だからか、新潟周辺は一部渋滞していた。
1時過ぎごろ、西金沢ICを出る。この辺は金沢市ではなく野々市市という町になるようだ。イオンタウンの敷地内にある『ジョニーのビリヤニ』へ行く。昨日yoyoさんのお店にいた、ビリヤニ作りが得意な整体師さんから教えていただいたお店。チキンとマトンとを頼み、まどと分ける。かなりボリュームがあり、味もとてもおいしくて満足。
車に戻ると、問題発生。なんとバッテリーが上がっていた。レンタカー会社へ連絡し、業者さんが来てエンジンをかけ直してもらう。幸い、すぐ目の前にイエローハットもあったのでさらに点検。特にバッテリー自体は問題ないだろうとのこと。不安なのでとりあえずゲストハウスに車を停め、この日は電車で金沢市街へ向かうことにする。ゲストハウスは民泊のようなところで、部屋も広くきれい。まどは気に入った様子。
西金沢から一駅だけ電車に乗って金沢へ。金沢駅はとても大きく、海外からの観光客も多い。まどと分かれて、自分は歩いて15分ほどのところにあるレコードジャングルという中古レコード店へ行く。想像以上の広さと在庫。本当にジャングルのようだ。仕切りも細かく分かれていてとても探しやすい。とは言えあまり時間もなく、1時間弱見て、この日は金沢のDJ、PPTVさんが2011年に出したmixCDと、戦前に録音されたフランスのビギンのレコードだけ買って退店。店長さんが話しかけてくださり、「高松ですか、ルーツレコードさんとか行きます?」と言ってくれたり、うれしかった。また来たい。まどと金沢駅で合流し、駅構内の8番ラーメンへ。どこか懐かしい、まろやかな味。
この日は車のトラブルで金沢建築館や鈴木大拙館には行けなかったけど、予定をぎっちり詰めてフル回転していた頭が冷めて良かったかもしれない。ゲストハウスでごろごろして、『大衆芸術』読み終える。
30日(木)
朝7時半頃に起きる。いよいよこの日は高松へ帰る。が、もう少し金沢を楽しみたいということで、車で市街へ。『キャッスル』という老舗の純喫茶でモーニング。ここは朝早くから営業しており、外国人観光客も何組かいた。石川のお年寄りの会話は、語尾に独特のコブシがある。あまり聞いたことのない感じ。ここのモーニングは量がすごかった。トースト、サラダ、ヨーグルト、ベーコンエッグ、スパゲティにフルーツまでついて700円。安い。お腹いっぱいになった。
すぐ近くにある近江町市場を歩いてみる。カラフルな布のテント越しに光が入って、ネオンのようなエキゾチックな効果が生まれている。魚屋や果物屋がたくさん並んでいて楽しい。新しめの、きれいな感じのお店もあった。
ついでにと兼六園にも行く。正直なところ、ベタな観光地だしどうしようかなと迷っていたけど、行って良かった。迫力のある松の大木はどれも個性豊かで見ごたえがある。苔もいい。園内も道が細かく分かれていて、「ここを見せたかったんだろうな」と想像しながら歩くのが楽しい。出てソフトクリームを食べる。観光気分。
金沢西ICから高速に乗り、高松へと向かう。行きは舞鶴若狭道を通ったけど、帰りは違う道にしてみようと名神道へ。これがまずかった。途中彦根を過ぎたあたりから大渋滞。そして大阪あたりでは車線が多い上に複雑なジャンクションが続きヒヤヒヤ。宝塚北SAでパンを食べ、休憩。もう北陸へ行く時は舞鶴若狭道を通ることにしよう。帰りの明石大橋は横風が強かった。
高松中央ICに到着。この日はちょうど(?)13回目の結婚記念日だったので、焼肉を食べに行く。その後ぽかぽか温泉。長い旅だった。
31日(金)
朝8時に起きて、車に積み込んだ本や絵などを降ろし、レンタカーの返却。南でモーニング。ゼーバルト『土星の環』続き読む。店に行き、本や絵の整理。量が多いので、通常営業できる状態にするだけでも大変だ。
開店。この日は出店用の本を棚に戻しながらの営業。意外と早く作業は進んだけど、毎回棚から本を抜き出して戻すというのはかなり面倒だ。催事に積極的に参加しているお店はそのためのストックを用意しているのだろうか。ハップさんが来てくれて、ポップアップやイベントのチラシをいただく。精力的だ。金沢のレコードジャングルにはハップさんも行ったことがあるようで、毎回3時間くらいいてしまうとのこと。ネット出品していたものの発送もたまっていたが、追い付かず。
閉店後、早めに帰宅。『街の恋』という映画を見る。1953年公開、6人の監督によるオムニバスで、アントニオーニやフェリーニが参加している。セミドキュメンタリータッチのものからシュルレアリスティックなものまで作風はいろいろ。アントニオーニはタイトルからして『自殺未遂』と、とても陰鬱な内容だけど、自分はこれが一番印象に残った。
01日(土)
起きて、朝ごはんを食べ、掃除。お弁当を用意して出る。旅行中に歯の痛みが気になったので歯医者に行くが、いつの間にか完全予約制になっていて、またにする。まどは祖谷で行われている何かの集まりに行った。パフォーマンスか展示か、何かやるようだった。旅行のお土産を持って、近所のお店をまわる。
開店。とても眠い。この日はたまっていた発送をやり、少し品出しもした。店頭買取2件。小鉄君が来てくれる。近々東京へ引っ越すとのこと。かなり前から考えていたことのようだけど、やはり少し寂しい。
閉店後、お土産を持ってルクスに行く。黒コショウさんがいて久々に話す。ビールを飲んでいるとまた小鉄君がやってきて、おしゃべりするが、自分の疲れもあってかかなりとぎれとぎれ。眠くなってきて、ふらつきながら帰った。
02日(日)
運営がふわふわしたイベントに関わってしまって焦る夢を見た。電話の鳴る音で起きる。お客さんからの電話で、時計を見るとなんと既に開店の12時をまわっていた。7時間寝るつもりが12時間寝ていた。こんなことは初めてだ。相当疲れているらしい。
開店。この日はお客さんが多かった。たまに来てくれる高校生らしき女の子、今回も萩原恭次郎『死刑宣告』などなどたくさん買ってくれてうれしい。応え続けたい。鳥取を拠点に各地で出店されている無店舗の古物店『がふ』の長谷川さんが来てくれる。今度、津山の『喫茶曲がり』でポップアップをされるとのことで、ぜひ行きたい、会えるだろうか…と思っていたら向こうから来てくださった。とてもうれしい。ポップアップのチラシをいただき、いろんな話をする。長谷川さんは日々かなりの距離を運転されるそうで、お尻にやさしいクッションの情報なども聞くことができた。とても大事だ。夕方ごろにまどかさんが来てくれて、映画の話。おすすめした清水宏『有りがたうさん』を見てくれたそうで、その話から、『マッドマックス』シリーズまでいろいろ。この日は品出しもそこそこ進めた。
閉店後、しばらくブログを書く。23時半くらいまでやるが、内容が多くて半分も進まず。帰ってシャワーを浴びて寝た。
03日(月)
朝7時半に起きる。朝ごはんを食べて、洗濯機をまわす。スーパーで買い物。小松菜のおひたしと麻婆豆腐を作る。この日まどは病院で大腸検査。まども毎日いろんな用事があって忙しい。お弁当を用意して外出。一人で南へ行き、『土星の環』読み終える。
開店。なぜかこの日はとてもお客さんが少なかった。猛然とブログを更新。あっという間に時間が過ぎた。
がふの長谷川さんと話して、なんとなく今後の自分の指針のようなものが見えてきた気がする。いろんなアイディアが湧いてくるけど、一旦冷静になるために寝かそう。
今日は早めに寝たい。